1時44分の電話で君は泣いた

同窓会明けの日曜日 あんなに飲んであんなに冷静を装いながら泥酔してボロボロになりながら自室の寝床まで辿り着いたのに目が覚めたら酒灼けも二日酔いもしていない まるで全部夢だったかのような 冷静な今思い返して蘇る少しの恥ずかしさだけが現実的で 体調が悪いわけでもないのにやたらと頭の回転と身体の感覚が鈍くて一日中寝巻きのまま何処へも行かずごろごろだらりとしていた あと40分で日付が変わるという時間に今日の23時間20分分を取り戻そうと車を走らせる このまま市街に出てやろうかとするものの無意識にチェックしてしまうデジタル時計と一瞬で割り出される家までの時間そして睡眠時間と明日の電車の時間 結局、隣県に続く大橋を目の前にウインカーを右に倒し大回りをして見慣れた景色が過ぎていくのを眺めた 同じところをぐるぐると回って何を手に入れたんだろう 同じ景色しか続かないのに何を手に入れたかったんだろう ランダムに流れ続けるDIALUCKだけが意味を持つ やり残した日に何をする やり残した夜をどう過ごす やり残したことがなんなのかもわからないまま朝を待つことに耐えきれない どう過ごす 何をしたい何がしたいじゃあ何がしたかった今日をどうしたかった今日をどう生きたかった 何時に起きて何を食べて何処へ行き誰に会いたかった 焦って深夜に車を走らせてローソンのミルクココアを飲んで一服 きっとそんなことがしたいわけじゃなかったミルクココアも甘ったる過ぎたし煙草も不味かった 日常の粗探し 毎日の否定 日々感想 傍観 気に入らない出来事が流れに亀裂を入れてそれが広がるのすらただ眺めてる 何処までが自分でコントロールできて何処までが自分じゃどうしようもないのかわからないまま明かさないまま知ることも恐れてスカして諦めて手を付けようともせず何もかも見通したようなツラでわかったつもりで見通したように評価をしている そんな気がして情けなくなる 世界のことも人のことも大好きではないし大嫌いでもない 自分は自分でも驚くほど無思慮で責任感の無い人間であるし大人だからなんて言いながら大人でならなきゃいけないことなんてないとも思っている そもそも大人ってなんだたった2文字に全てを隠れさせて背負わせてまるで秘密の合言葉みたいに使ったりするんじゃない 意味を含ませているようで本当は中身なんてない その場限りの子供騙しでしかない 自分の中の正しさだけを信じるあまり基本的に他人なんて信じられないし頼らないし委ねないし都合よく解釈して淘汰している 有名人だろうが芸能人だろうが通りすがりの他人だろうが一瞬のお客だろうが幼馴染だろうが同級生だろうが元カノだろうが知り合いだろうが脳が噛み砕いてバラバラにして機械にかけて心を通して好き嫌い格好良いダサいセンス良い悪い尊敬と見下しを織り交ぜて人間関係はそんなもんじゃないなんて言いながら信じながら冷静に冷徹に振り分ける機能がついていたりする自分を呪いもせず嫌になるわけでもなく心地よさすら感じながら生きてる 10年ぶりに会った面々も今後の人生に何か大きな影響を与えてくれるわけでもなく 広がる会話も仕事と所在と異性の話に偏ってまるで卒業文集の答え合わせ生々しい映画のラストシーンそんなのもうお腹いっぱいお酒もいっぱいでおめでとうもありがとうもむず痒くて照れくさいようなめんどくさいような心地が良いものではなかったな みんなはちゃんと良い人間で目の前のことに真っ当に挑んでいるような人間でかつての同級生の結婚を心込めて祝えるような馴れ初めにもちゃんと興味を持てるような人間で 純粋で社交的でそれが羨ましくて疎ましくてまるで同じ平成を過ごしてきた人間とは思えなかった 次々に変わる話し相手と席を立つ人、人 レモンサワー三杯 火のついた煙草 可愛くなったあの子 僕は日本酒を冷やで頼んだ やっほーなんて言いながら隣に座る元カノ、幼馴染、可愛いも可愛くないも数年ぶりも十年ぶりもどうでもよくて昔の話なんてどうでもよくて最近の話なんてもっとどうでも良かった 王様ゲームでもトランプでも怖い話大会でもすべらない話大会でもやって現在を消費したかった 増えない思い出も関われない生活も一旦置いておいて、思い出作りでもなくお悩み相談室でもなく、そんなもの忘れてしまうくらいの現在が欲しかった